敏腕パイロットのドＳな溺愛～離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない～

今夜こそは大地さんが好きなごはんを作って、きちんと話そう。

そう決意して、夕方スーパーで買い物をしていたら、彼のお母さまからスマートフォンに電話がかかって来た。

レストランで会った夜、謝罪のメッセージを送り、あちらからもお詫びの返事が届いて以来だ。

「はい、ちえりです」

いったいなんだろうと少し身構えながら通話画面をタップした。

『ちえりさん、たった今夫から、大地が乗っている飛行機が機体トラブルに見舞われていると連絡が来たの』

「……え？」

『福岡空港から羽田空港に向かっているＪＰＡ２４６便の主脚が出なくて、このままでは胴体着陸になる見込みのようよ』

現実を受け入れたくなくて、お義母さまの声がはるか遠くに聞こえた。

周囲の騒音もなにもかも耳に入らなくなる。

『ちえりさん、聞こえてる？　私はすぐに羽田に向かうわ。あなたも来られる？』

お義母さまに訊かれる前に、もつれた足で駆け出していた。