敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「ちゃんとわかってるじゃないか」

「もちろんです。でも、覚えていますか? 私が落ち込んでいたとき、すぐに気づいて声をかけてくれたこと」

伯母を海外の小型航空機の墜落事故で亡くした初夏のことだ。

お葬式を終え、どうしても大地先輩に会いたくなって高校の校門前で待ち伏せをした。

でも彼はなかなか出てこなくて、私は校内に忍び込んだのだ。

それまでも何度か同じようなことをしていたから、彼が現れそうな場所は見当がついていた。

体育館の近くの自動販売機前で、彼とばったり会う。

彼は紙パックのレモンティーを手にしていた。

普段なら呆れた目を向けられ、『警察呼ぶぞ』と一言、そのあとは無視、という流れなのに、そのときだけは違った。

『ストーカー、どうした? 元気ないな』

たった一目私を見ただけで、彼はそう口にしたのだ。

その瞬間、私はわんわん声を上げて泣いてしまった。

彼はなにも理由を聞かず、私の涙が止まるまで頭を撫でてくれた。

そして、『水分補給しとけよ』と飲みかけのレモンティーを私にくれたのだ。

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