敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
それに、彼が住んでいるのは高級マンションの高層階で、トラック運転手にしてはずいぶん華やかな暮らしをしているなと違和感を覚えていたのだ。パイロットだと言われれば腑に落ちる。すぐに疑問をぶつけておくべきだった。

「っていうか大地先輩、私の処女を奪ってから正体を明かすなんて、絶対に故意ですよね」

その前に知っていたら、初夜は迎えなかった。

「まるで結婚詐欺に遭って強姦されたみたいな言い方だな」

「そうじゃないですか。大地先輩のことは大好きだけど、こんなのひどいです」

でもいったん彼を責めると、すぐに自己嫌悪が襲いかかってくる。

「……すみません。お互いさまですよね」

彼だけのせいじゃない。

私だって言葉足らずな部分もあったのだ。

「私は飛行機に自分が乗るのも、大切な人が乗るのもだめなんです。私の伯母は私が中学一年生のとき、小型航空機の墜落事故で亡くなりました。大地先輩にレモンティーをもらった数日前です」

私は過去の出来事を打ち明けた。

「あの日、ちえりに元気がなかったのはそれで?」

大地先輩はすぐに思い当たったようだ。

「はい」

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