敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
途端に今自分が空港にいるのを深々と知覚し、心臓がバクバクしてくる。胸もとを押さえて、動悸に耐えた。ここにいるだけでも激しい不安に駆られてしまう。

「ちえり?」

訝しげな声が聞こえて顔を上げると、目の前に大地先輩がいた。

私に気づいて引き返してくれたようだ。

間近で見る彼の制服と制帽姿はあまりにもかっこよすぎて、思わず言葉を失った。

「どうしたんだ? 仕事は?」

「……あ、えっと、午前休を取りました。すみません、空港まで押しかけて」

「おまえのストーカー癖には慣れてる」

私が出発ロビーにいても、大地先輩は驚いた様子もなかった。

たしかに私は昔から彼を追いかけ回したり待ち伏せしていたけれど、慣れというのはすごい。

「本当は飛行機に乗ってほしくないけど、そういうわけにはいかないから、せめてちゃんといってらっしゃいって言いたかったんです」

私はここにやって来た理由を伝えた。

じゃないと四日間、後悔で押し潰されそうだったから。

「ベッドで寝たふりをしていたくせに?」

大地先輩は意地悪な笑みを浮かべる。

「だって……」

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