敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
大地さんと初めてのフライト
大地さんとの新婚生活は、一喜一憂する日々だった。

彼は先日のように国際線に乗務する場合は渡航先で一、二泊するため四日ほど家を空け、数日間のオフ、国内線の場合は日帰り、もしくは二泊三日で一日に複数の便を飛び、数日間のオフ、といった不規則なスケジュールだ。いずれにせよ、彼のフライト中は不安でいっぱいだった。

それでも彼が無事に仕事を終えて私のもとに帰ってくれば幸せで、負の感情はリセットされる。

感情のアップダウンが激しすぎて、私が望んでいる穏やかな新婚生活とは程遠かった。

そして入籍から二週間が過ぎた今日は、大地さんはスタンバイという勤務で出社している。

スタンバイとはその名の通り待機で、たとえば体調を崩したパイロットが出た場合などに備えるものだ。イレギュラーな状況が発生したとき、交代要員としてアサインされることになる。

なにもなければ空港内で五時間ほど待機したあと帰宅すると聞いている。スタンバイの終了時間はまもなくだった。

もしもフライトが入った場合は連絡をお願いしているが、今のところスマートフォンは鳴っていないので安心している。

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