敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「フェリーとかでも行けますよね……」

調べたところ、船内で一泊し、二十時間弱かかるようだが、選択肢としてはあった。

「お住まいはどの辺なんだ?」

「え……それは……」

「北海道と言っても広いだろ」

「……新千歳空港の近くです」

「飛行機一択だな」

絶対にそう言われると思った。

ただでさえ東京から北海道に向かうのは、ほとんどの人が飛行機を利用するのだ。

その上、祖父母の家は新千歳空港から車で二、三十分である。

「明々後日がオフだから、日帰りでよければ一緒に北海道へ行ける。俺の操縦じゃなくて、機内で隣に座ってだが」

「えっ、大地さんが隣に?」

「ああ。家族には会えるときに会っておくべきだ」

大地さんの言葉が胸に重く響いた。

彼がそばにいてくれるなら、飛行機に乗れるだろうか。

「ずっと手、握っていてくれますか?」

「手くらい、いくらでも」

快諾してくれた大地さんに、希望の光が見えた。

絶対に、この機を逃してはいけない。

< 57 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop