敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
ここで怖気づいてしまったら、二度と飛行機恐怖症を克服できない気がする。

ちょうど明々後日は祝日で、私の会社は休日だ。

膝の上でぐっと拳を握る。

「わかりました。私、飛行機で北海道に行きます」

覚悟を決めた私に、大地さんはほっとしたような表情になった。


当日の朝。

「そもそもあんな鉄の塊が空を飛ぶのが理解できないんですよ……」

羽田空港に向かう道中、私はすでに真っ白な顔で往生際悪く大地さんに絡んでしまう。

「揚力の話でもするか?」

「いえけっこうです。飛行機の文句を言いたいだけなので」

出発ロビーに到着すると、彼に連れられてJP航空国内線ファーストクラス専用のチェックインカウンターに向かった。

私になにかあったときに対応しやすいからと、彼がチケットを手配してくれたのだ。

空港内は彼の顔見知りがたくさんいて、明らかに視線を感じたけれど、それを気にする余裕はなかった。

< 58 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop