敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
JP航空――通称JPAは、日本国内最大手の航空会社だ。

たしかにここは羽田空港の近くだし、パイロットが来ても不思議ではない。

「ふうん」

もぐもぐ口を動かしながら、適当に相槌を打つ。

「ってことで、私たちが今日ここに来たのは、パイロットとお近づきになるためよ。あわよくばパイロットと結婚できたらいいよね」

声を弾ませた杏に、私は慌てる。

「ちょっと待って。だから私に盛れるだけ盛っとこって言ったの?」

「そうよ。あっちはきれいなCAを見慣れているから、こっちもそれなりにしておかないとね」

「私、パイロットに興味ない。むしろ絶対に近づきたくないし、結婚なんかありえない」

伯母を小型航空機の墜落事故で亡くして以来、飛行機は落ちるものだと思っている。

もしパイロットと結婚したら毎日自分まで生きた心地がしないし、そんな結婚生活は嫌だ。

「えー、パイロットが嫌いな女の子なんかいるの? 高収入で英語が堪能で、憧れの職業でしょ? 制服もかっこいいし、大空を飛び回れるなんて素敵じゃない」

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