敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
新萩さんはきれいな眉をひそめ、神妙な顔つきになる。

「そうなのですね。承知いたしました。しっかりサポートさせていただきますので、どうぞご安心くださいませ」

柔らかで、それでいて頼もしい表情で告げられ、心が落ち着く。

とても素敵なCAさんだ。

彼女が私を睨んでいたように思ったのは、誤解だったみたいだ。

「はい、ありがとうございます」

「大地さんもおそばで守ってくれますからね」

つないだままの手を微笑ましそうに見つめられ、耳まで熱くなる。

「あ、あの、これは、ただの道連れで」

「大地さんって奥さまにはお優しいんですね」

私の返答を受け流し、新萩さんは大地さんに笑みを向けた。

彼は「はあ……」と、どこかうんざりしたようにため息をつく。

「食事も飲み物も必要ないから、こっちから呼ぶまでいっさい声をかけないでくれ」

あまりにも冷たい彼の態度に驚いた。

でも新萩さんは「承知いたしました」と平然と微笑んで去っていく。

彼を『大地さん』と下の名前で呼んでいたし、親しいがゆえのやりとりなのだろうか。

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