敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「祖父母の家は空港から近いですが、民間航空機が飛行するコースの下ではないので、とても静かですよ」

タクシー内で大地さんに話しかけた。

祖父母の家に遊びに行ったとき、騒音が気になった記憶はない。

「へえ、そうなんだな」

実は今、私と彼が向かっているのは祖父母には内緒だ。

やっぱり飛行機には乗れないと二の足を踏むかもしれなかったし、行くと言って行けない事態は避けたかったからだ。

祖父は寝込んでいるようだが、体調は大丈夫だろうか。

少しでも元気づけられればいいなと思う。

「あ、そこのクリーム色の一軒家です」

「突き当たりの?」

「はい、家の前でおじいちゃんが水まきしてるところで……え?」

おじいちゃんが水まき?

「ちい?」

近くでタクシーが停まると、私に気づいた祖父が吃驚した顔をした。

「おじいちゃん、寝込んでるんじゃなかったの?」

私も目を疑いながら駆け寄った。

「ああ。ぎっくり腰で昨日まで寝込んでいたけど、すっかりよくなったよ」

「ぎっくり腰っ?」

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