敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
にこっと微笑む祖父に、私は声を上擦らせた。

もちろんぎっくり腰も大変だけれど、命に係わるような病気だと思っていたのだ。

そこへ、大地さんが私の隣にやって来て、祖父に頭を下げる。

「はじめまして。美澄大地と申します。突然ご訪問し、申し訳ございません。先日、ちえりさんと入籍させていただきました」

「ああ、ちえりの旦那さんまでいらしてくださったんですね。はじめまして。ちえりの母方の祖父です。さあさあ、どうぞ中へ」

祖父は私たちのいきなりの来訪に、喜びを隠しきれない様子だった。

軽やかな足取りで玄関を開け、中にいるらしい祖母に声をかける。

するとキッチンのほうから、祖母がひょこっと顔を出した。

「えっ、ちいちゃんっ? そちらはもしかして旦那さんっ?」

「そうだよ。もう、おばあちゃん、意味深な言い方しないでよ。『このままじゃ……』なんてところで言葉を途切れさせられたら心配するじゃない」

私は頬を膨らませて祖母に抗議した。

「『このままじゃ、いろいろ大変だわ、重いもの買ったときとか荷物持ちがいなくて』」

「ぎっくり腰って今おじいちゃんから聞いたよ!」

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