敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「立派なお仕事をされているんですね。この子の伯母が小型航空機のエンジントラブルで亡くなったとき、ひとりだけ生存者がいたんです。その人の話によると、パイロットの方は最後まで諦めることなく操縦を続け、全員の命を救うために尽力してくれていたそうなんです」

「そうでしたか……」

大地さんは苦悶の表情をし、追悼の意を表した。

同じパイロットとして、なにか思うところがあるのだろう。もしかすると、救えなかった命があることに申し訳なさを感じているのかもしれない。

「この子の伯母は……私の娘は助からなかったけれど、パイロットの方には本当に感謝しているんです。あれは誰のせいでもなく、ただただ不幸で痛ましい事故でした」

祖母の言葉に祖父は深く相槌を打つ。祖父も同じ気持ちのようだ。

恨みや憎しみを抱いていないどころか、謝辞を述べるふたりを立派に思う。

「貴重なお話を聞かせていただきありがとうございます。大切な命を預かっているのだと、今後はより一層肝に銘じて乗務にあたります」

真摯に向き合う彼の姿に、祖父母は眩しそうな顔をする。

「ちい、とても素敵な人と結婚できたね」

「うん」

心からの言葉を笑顔に載せた。

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