敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
大地さんは本当にすごい人だ。

彼がいなければ、私はもう一生飛行機に乗れなかったかもしれない。

こんなふうに祖父母から話を聞ける機会もなかったかもしれない。

それを思うと、本当に彼の存在がありがたかった。


「せっかく北海道まで来たのに日帰りなの?」

祖父母は残念がったけれど、明日大地さんは朝からフライトが入っているから、夕方には家を出た。

「次はおじいちゃんたちが東京に会いに行くからね」

「うん。待ってるね。またぎっくり腰にならないようね」

「気をつける」

みんなで笑い合って、私と大地さんはタクシーに乗り込んだ。

私たちが見えなくなるまで、祖父母は手を振ってくれる。ひさしぶりに会えたうれしさからか、お別れの寂しさからか、目が潤んでしまう。

こっそり涙を拭いて、隣に座る大地さんのほうを向く。

「大地さん、すみません。おじいちゃん、急病でもなかったのに、駆けつけさせてしまって」

「いや、結婚の挨拶もできたし、来られてよかったよ。外堀も埋められたしな」

「外堀?」

「ちえりのおじいさまやおばあさまとも顔合わせして、離婚しにくくなっただろ?」

「う……」

私は言葉に詰まった。言われてみればたしかにその通りだ。そして私は墓穴を掘っている。

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