敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「つーかまだ、俺と離婚したい?」

「……したいです。いろいろと言動が矛盾していますけど……」

「矛盾してるってことは悩んでるんだろ」

「はい……」

「じゃあ、離婚したいかどうかわからないんだな」

断言されると、そんな気がしてきてしまう。

私は自分の心を決めかねている。

「なんにせよ、もうすぐ帰りの飛行機だな」

目下に迫る超重大事項を宣告され、意識がそちらに向く。

今の私は、飛行機への恐怖心を克服するのが先決だった。


そして新千歳空港から飛行機に乗り込んだあと、ありえないことが起こった。

現在、羽田空港の到着ロビーを歩いている私は、未だに現実を受け入れられない。

なんと私は機内で着席し、シートベルトを締め、大地さんと手をつないだのち、離陸前にすやすや眠ってしまったのだ。

目を覚ましたのは、飛行機が滑走路に着陸したときの、ドスンという衝撃だった。

『……え?』

なにがあったの?

慌てて飛行機の窓の外を見やる私に大地さんが『着いた』と一言。

『どこに着いたんですか?』

『羽田空港』

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