敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「人間は地上の生き物よ。しっかり地に足をつけて生きるべき」

「ちえりっていつの時代の人?」

杏は私の意見が信じられないようだった。

「なんとでも言って。そもそも私はその名前からして素晴らしい大地先輩じゃなきゃ嫌なの」

元々彼氏すらほしいわけではないのだ。

「また大地先輩?」

杏はうんざり顔だ。彼女は大地先輩を知らないのに、事あるごとに私から彼の魅力について繰り返し聞かされていれば、そうなってしまうのも無理はないだろう。

美澄大地先輩は、私の初恋の人だ。

中学に入学してすぐ、同じ最寄り駅にある高校に通う彼に一目惚れした。

当時の私は十三歳、高校二年生の彼は十七歳だった。

今となっては四歳差は大きくないが、そのときの彼には私が子どもにしか見えなかったようで、まったく相手にもされなかった。

一方的に追いかけ回していた私を、彼は冷たくあしらい、ストーカー呼ばわりしていたから、もちろん初恋は実らなかった。

でも、優しくしてくれた思い出もちゃんとある。今も大地先輩が大好きだ。

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