敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「母親としてよ。あなたは大切な息子なんだからね。あなたの奥さんなら、さぞかしあなたの性格を一番に愛していて、私みたいにお金や地位や名誉に釣られないんでしょう?」

嫌味たらしい言い方に、苦笑いしてしまう。

「ああ、それは心配ない」

言い切る俺に、母は宣戦布告とばかりににっこり微笑んだ。

「そう。会えるのが楽しみだわ」

できればちえりに会わせたくはないが、強硬手段に出られるよりはこちらから日取りを提示したほうがいいだろう。

「俺とちえりのスケジュールを確認して、三日以内に連絡する」

「あなたも来るのね?」

「当然」

「じゃあ、あなたは少し遅れて来てちょうだい。女同士で話したいことがあるの」

いったいなにを企んでいるのだろう。

怪訝な目を向けた。

「連絡、心待ちにしているわ」

用件は以上とばかりに母は席を立ち、俺を置いてカフェを出て行った。

どこまでも奔放な人だと、白けた気持ちになる。



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