敏腕パイロットのドＳな溺愛～離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない～
「離婚の話し合いをするためじゃなく、おまえが飛行機に慣れるために」

離婚を回避し、今ある幸せを守るには、私が飛行機恐怖症を克服するしかない。

でも、私は彼が隣にいてくれない状況で、フライトに耐えられるのだろうか。

自信がなかった。

「四、五日、休暇は取れるか？」

「たしか結婚休暇が五日間ありますが……」

「それならハワイに行くか。この間、行きたいと言っていただろ」

「え！　いつか行きたいと言いましたが無理です。そもそも私、海外にすら行ったことがないんです」

「俺の操縦で初海外。最高だな」

「最高でしょうか……!?」

私みたいなタイプは彼のような人に引っ張ってもらうのがいいのかもしれないけれど、すぐには同意できなかった。

しかし彼の中ではもう決定事項のようで、ぶつぶつとなにやら思案している。

どうしよう。このままでは連れていかれてしまう。

ハワイは子どもの頃、テレビで青い海と白い砂浜、椰子の木を見て、まるで楽園のようだと憧れを抱いた。

伯母が亡くなってからは、それすら忘れていたけれど。

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