敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「いつかなんて言っていたら、いつかは来ない。俺が連れて行ってやる」

大地さんの意見はもっともだ。

どうやらもう行く選択肢しかないようだった。


一週間後、来月のフライトスケジュールが出たと、スマートフォンの画面を見せられた。

来月中旬、四日間の予定で、成田空港からハワイのホノルル空港への往復便に乗務するようだ。

私も以前会ったことのある七野機長と組むらしく、彼は後輩の育成に積極的で、余程困難な状況でない限り、大地さんに操縦桿を握らせてくれるそうだ。

ちょうど一カ月後だから、私の会社の結婚休暇の申請にも間に合う。

それでもまだためらっている私に、彼は思いがけない提案をする。

「ハワイでステイ中、ふたりきりで結婚式を挙げないか」

「え?」

一泊三日のスケジュールの彼は、現地で一日だけフリーの日があるという。それを利用して挙式したいと考えているようだ。

「家族や友人を呼んで結婚披露宴をしたいなら、それは後日、日本ですればいい」

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