敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
「それなら、結婚式もそのときに……」

「ちえりのウエディングドレス姿を独り占めしたい」

頬に触れながらささやかれ、ドキッとした。

彼がそんなことを口にするなんて、夢じゃないだろうか。

ハワイで結婚式を挙げられれば、どれだけ幸せだろう。

「結婚式は、大地さんはパイロットの制服姿ですか?」

私の問いかけに、彼は虚を衝かれた顔になる。

「普通にタキシードのつもりだが」

「制服がいいです。パイロットの大地さんを独り占めしたいです」

自衛官や警察官、消防士には儀礼服という正装があり、それを着て結婚式をする人が多いと聞いたことがある。

大地さんも制服で私とバージンロードを歩いてくれるなら、さらに何倍も結婚式が楽しみになりそうだ。

「パイロットには儀礼服がないんだよ。以前、後輩が制服を着てウエディングフォトを撮ったと言っていたが、結婚式を挙げたというのは聞いたことがない」

「そうなんですか……」

目に見えるほどがっかりしてしまった。

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