敏腕パイロットのドSな溺愛~離婚するはずが、エリート副操縦士は最愛妻を甘く包んで離さない~
成田空港の国際線ターミナルに着き、ひとりでファーストクラス専用のチェックインカウンターに向かった。

ラグジュアリーな空間で手続きを済ませ、専用の通路から保安検査場へと進む。ラウンジで過ごす時間はないから、そのまままっすぐ搭乗した。飛行機は二階席のある機種で、ファーストクラスのシートはそこにあるようだ。

国際線のファーストクラスは、国内線よりもさらに広くて贅沢で、パーティションで完全に個室になる。

「ちえりさん、はじめまして。山吹(やまぶき)と申します。コックピットにいる美澄コーパイからお話を伺っております。ご気分が優れないなどなにかございましたら、いつでもご遠慮なくお申し付けくださいね」

すぐに専任のCAさんが挨拶に来てくれた。大地さんが事前に私のことを話してくれていたようだ。

それだけでも少し心にゆとりが持てた。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

大地さんがコックピットにいると聞けたことにも安堵した。チケット通りに乗り込んだものの、本当に彼が同じ機内に入るのか不安だったのだ。

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