この景色を、君と何度も見たかった。
【蒼 said】
教室を出るとすぐに彼女は僕に
「さっきは泣いてごめん」
と言った。
泣いたか泣いていないかはどうでもよかった。
だから大丈夫とだけ答えた。
それよりも気になったことがあった
「さっきは何を思っっていたの?」
と聞いた。
「私もなぜか変わりたいと思った」
と言ってきた。
でも、
「なぜ変わりたいのか。
どうして変わりたいのかわからない。」
と彼女は言った。
一番初めに変わりたいと言ったのは僕だ。
けれど僕もわからない。
だから僕も、
「僕もわからないよ。」
と返事をした。
すると彼女は少し困りながらも、思っていることをたくさん教えてくれた。
少し焦りながら、必死に話している彼女の姿は嘘をついてるようには見えなかった。
だから僕は彼女がどういう風に思ってこの内容を話しているのか必死に汲み取っていた。
彼女が言った、
「加害者が守られ、被害者はほったらかしにされる。」
と言う言葉の後に僕に言った
「月城くんならわかるよね?」
という言葉に動揺した。
痛いほどわかる。
この分かるという現実を正面から真っ直ぐにぶつけられて、少し逃げたくなった。
いや、今まで僕は逃げてきたのかもしれない。
逃げてきたと言う事実を受け止めきれないから、またそこでも逃げてきた。
君は最後に
「私間違ってる…?」
と聞いてきた。
僕はすぐに、
「間違ってないよ。」
と返事をした。
彼女の言うことが一つ一つ間違ってないと僕は思う。
間違ってないと思うからこそ僕の意見もここで全て話してしまおうと思った。
「君の考えていることは間違ってないと思う。
君は自分の考えのことをひねくれていると言っていたが、ほとんどの人間が自分を中心と置いているこの世界でその考えは誰にでもあるものだと思った。
もちろん僕にもあるよ。
ただそれを表に出すか出さないかの違いだと思うんだ。
妹が、学校にいけなくなったあの日から僕も妹も家族も少しずつ日常が崩れていった。
もちろん家庭環境になんの問題も何もないし、端から見れば普通だけれど、おかしいんだ。
いつもの幸せな食卓に妹の姿がなくて。
初めは落ち込んでいたよ。
今日も部屋から出てきてくれなかったって。
でも、そんな生活もすぐに慣れて、妹がいないことがいつしか当たり前になった。
もちろん加害者は楽しそうに学校にも行って
家でいつも通りに家族とご飯を食べて
友達とまた違う誰かの悪口で盛り上がって
妹が学校に行かなくても行っても変わらない日常を過ごしている。
でもそいつに狂わされた毎日は簡単には戻ってこなくて、誰も戻してはくれなかった。
学校も教師もみんなみんな被害者の事を、
放っておくっていうのは今の社会で当たり前のことだと思うんだ。
被害者が黙っていれば全て丸く収まるのだから
そう思うのは仕方がないのかもしれない。
僕はよく言われていたよ
「いじめをやっているあいつはいつか1周回って自分に返ってくると。」
「だから黙って待っておけばいい。」
自分に返ってくるっていつ?
何の根拠があるんだ?
そう思いながらも、僕はずっと待っていた。
でも人をいじめるような奴っていうのは、
上手く色々なことを交わして生きてゆくもので、ずっとずっといじめている側から抜け出さないんだ。
年が立つ度、僕の憎しみや恨みの気持ちだけが募っていく。
それでも加害者のあいつは何も無く笑っている。
君がよく言う、
感情が死んでるみたい。っていうのもよく分かるよ。
僕だってそうだから。
それは妹だって母さんだって、父さんだって同じだ。
加害者は
1人をいじめたつもりでも、
その子ひとりだけを狂わしたつもりでも、
本当は違う。
その裏にはその家族の痛みがある。
それを分かって欲しいだけなのかもしれない。
でもこの1度狂わされた感情や感覚はもう戻らない。
憎しみが憎しみを生む。
恨みが恨みを生む。
そんなこと当たり前じゃないか。
でも僕が言いたいのは、
何故恨みや憎しみを作った方ではなく
憎しんでいる、恨んでいる方が我慢をしないといけないんだという事。
被害者が黙っていれば全て丸く収まるのだから、みんながこういう風に言うのは間違ってはないと思う。
これがおかしいことだと気づけるのは被害者になってからであって、
もし僕が被害者にならなかったら、
こんなことにいちいちおかしいと思わなかったし、気づきもしなかった。
この世界は、被害者よりも加害者の方が多いのだから僕たちの意見が通らないことも目に見えて分かっている。
こんなことがおかしいということを発信すればするほど僕たちは被害妄想が過ぎているなど散々な言われ方をするだろう。
周りの目が怖いから
気になるから
そうやっておかしいと思いながらも逃げてきたのが今までの僕だった。
でもやっと変わりたいと思えて、逃げずにいこうと思った。
だから僕はこの手であいつらに復讐がしたいと思う。
これが間違っているのか、
間違っていないのか
なんてどうでもいい。
復讐をした後に
間違っていたか
間違っていないかったのか
僕自身で決める。
これが僕が今君に伝えられることかな。」
あまりにもはっきりと意見を言う僕の顔を見て彼女は少し驚いたように見えた。
でも驚いている彼女の顔は今までとは違って強く見えた。
彼女は少し間が空いたと僕にこういった。
「私も一緒に復讐をする。
誰も救ってくれなかったから、
私自身が全て終りにする。
これから一緒に復讐をしていこう。
復讐をした後、必ず一緒に
幸せな毎日の景色を見ようね。」
僕たちが出会ったこの時点で、これからの運命は少しずつ変わっていっていたのかもしれない。
こんな普通を求めて毎日を生きてきた僕たちがこれからあんなことをして社会を騒がせることになるなんて思ってもみなかった。
教室を出るとすぐに彼女は僕に
「さっきは泣いてごめん」
と言った。
泣いたか泣いていないかはどうでもよかった。
だから大丈夫とだけ答えた。
それよりも気になったことがあった
「さっきは何を思っっていたの?」
と聞いた。
「私もなぜか変わりたいと思った」
と言ってきた。
でも、
「なぜ変わりたいのか。
どうして変わりたいのかわからない。」
と彼女は言った。
一番初めに変わりたいと言ったのは僕だ。
けれど僕もわからない。
だから僕も、
「僕もわからないよ。」
と返事をした。
すると彼女は少し困りながらも、思っていることをたくさん教えてくれた。
少し焦りながら、必死に話している彼女の姿は嘘をついてるようには見えなかった。
だから僕は彼女がどういう風に思ってこの内容を話しているのか必死に汲み取っていた。
彼女が言った、
「加害者が守られ、被害者はほったらかしにされる。」
と言う言葉の後に僕に言った
「月城くんならわかるよね?」
という言葉に動揺した。
痛いほどわかる。
この分かるという現実を正面から真っ直ぐにぶつけられて、少し逃げたくなった。
いや、今まで僕は逃げてきたのかもしれない。
逃げてきたと言う事実を受け止めきれないから、またそこでも逃げてきた。
君は最後に
「私間違ってる…?」
と聞いてきた。
僕はすぐに、
「間違ってないよ。」
と返事をした。
彼女の言うことが一つ一つ間違ってないと僕は思う。
間違ってないと思うからこそ僕の意見もここで全て話してしまおうと思った。
「君の考えていることは間違ってないと思う。
君は自分の考えのことをひねくれていると言っていたが、ほとんどの人間が自分を中心と置いているこの世界でその考えは誰にでもあるものだと思った。
もちろん僕にもあるよ。
ただそれを表に出すか出さないかの違いだと思うんだ。
妹が、学校にいけなくなったあの日から僕も妹も家族も少しずつ日常が崩れていった。
もちろん家庭環境になんの問題も何もないし、端から見れば普通だけれど、おかしいんだ。
いつもの幸せな食卓に妹の姿がなくて。
初めは落ち込んでいたよ。
今日も部屋から出てきてくれなかったって。
でも、そんな生活もすぐに慣れて、妹がいないことがいつしか当たり前になった。
もちろん加害者は楽しそうに学校にも行って
家でいつも通りに家族とご飯を食べて
友達とまた違う誰かの悪口で盛り上がって
妹が学校に行かなくても行っても変わらない日常を過ごしている。
でもそいつに狂わされた毎日は簡単には戻ってこなくて、誰も戻してはくれなかった。
学校も教師もみんなみんな被害者の事を、
放っておくっていうのは今の社会で当たり前のことだと思うんだ。
被害者が黙っていれば全て丸く収まるのだから
そう思うのは仕方がないのかもしれない。
僕はよく言われていたよ
「いじめをやっているあいつはいつか1周回って自分に返ってくると。」
「だから黙って待っておけばいい。」
自分に返ってくるっていつ?
何の根拠があるんだ?
そう思いながらも、僕はずっと待っていた。
でも人をいじめるような奴っていうのは、
上手く色々なことを交わして生きてゆくもので、ずっとずっといじめている側から抜け出さないんだ。
年が立つ度、僕の憎しみや恨みの気持ちだけが募っていく。
それでも加害者のあいつは何も無く笑っている。
君がよく言う、
感情が死んでるみたい。っていうのもよく分かるよ。
僕だってそうだから。
それは妹だって母さんだって、父さんだって同じだ。
加害者は
1人をいじめたつもりでも、
その子ひとりだけを狂わしたつもりでも、
本当は違う。
その裏にはその家族の痛みがある。
それを分かって欲しいだけなのかもしれない。
でもこの1度狂わされた感情や感覚はもう戻らない。
憎しみが憎しみを生む。
恨みが恨みを生む。
そんなこと当たり前じゃないか。
でも僕が言いたいのは、
何故恨みや憎しみを作った方ではなく
憎しんでいる、恨んでいる方が我慢をしないといけないんだという事。
被害者が黙っていれば全て丸く収まるのだから、みんながこういう風に言うのは間違ってはないと思う。
これがおかしいことだと気づけるのは被害者になってからであって、
もし僕が被害者にならなかったら、
こんなことにいちいちおかしいと思わなかったし、気づきもしなかった。
この世界は、被害者よりも加害者の方が多いのだから僕たちの意見が通らないことも目に見えて分かっている。
こんなことがおかしいということを発信すればするほど僕たちは被害妄想が過ぎているなど散々な言われ方をするだろう。
周りの目が怖いから
気になるから
そうやっておかしいと思いながらも逃げてきたのが今までの僕だった。
でもやっと変わりたいと思えて、逃げずにいこうと思った。
だから僕はこの手であいつらに復讐がしたいと思う。
これが間違っているのか、
間違っていないのか
なんてどうでもいい。
復讐をした後に
間違っていたか
間違っていないかったのか
僕自身で決める。
これが僕が今君に伝えられることかな。」
あまりにもはっきりと意見を言う僕の顔を見て彼女は少し驚いたように見えた。
でも驚いている彼女の顔は今までとは違って強く見えた。
彼女は少し間が空いたと僕にこういった。
「私も一緒に復讐をする。
誰も救ってくれなかったから、
私自身が全て終りにする。
これから一緒に復讐をしていこう。
復讐をした後、必ず一緒に
幸せな毎日の景色を見ようね。」
僕たちが出会ったこの時点で、これからの運命は少しずつ変わっていっていたのかもしれない。
こんな普通を求めて毎日を生きてきた僕たちがこれからあんなことをして社会を騒がせることになるなんて思ってもみなかった。