この景色を、君と何度も見たかった。


【蒼 said】

「今日は何を決める?」

彼女は今日も復讐の事について僕に聞いてきた。

でも1つだけ僕は気になっていた。もしこの計画が失敗すれば彼女はどうするだろうかと。

「もしこの計画が失敗したらどうする?」

僕は彼女にこう聞いた。すると彼女は、

「別にどっちでもいい、。」

と言った。

そして同じ質問を僕に投げかけてきた。

彼女は僕に同じような質問を返してくるのではないかなと予想を立てていた。

けれど実際に面と向かって同じ質問を投げかけられるとやはり動揺してしまう。

「失敗したとしても、後悔が残らなければ別にいい」

と彼女に返した。

彼女は不思議そうに僕の方を見ていた。

なぜここまで不思議そうに見てくるのか僕はわからなかった。

けれど、また彼女が投げかけてくる質問でこの不思議そうな顔の理由がわかった。

「月城君は失敗すると思っているの?」

と聞いてきた。

僕は驚いた。

彼女が不思議そうな顔で見ていた理由が
僕が失敗するかしないのか、どちらの方だと思っているのかが気になっていたからだと知ったから。

僕はこれといって、失敗するとも、成功するとも考えていなかった。

具体的な計画もまだ立てていないのに成功するか失敗するかなんてわからない。

でも彼女はいつも焦っているように先、先に未来のことを聞いてくる。

結果を先に知りたいと思うのも十分にわかるが、僕が全てわかるわけがない。

僕だって先に知りたい。

でも今回は全くわからないから面白い。

僕は小説の結末をあらかじめ知って本を読むのが好きだったが、今回ばかりは結果の見えない出来事を進んでいくことがすごく楽しかった。

少しずつ自分たちの感覚が変わっていくことがわかる。

でも変わっていった先が良いほうに進んでいるとは思わない。

それはうすうす彼女も気づいているのではないだろうか。

だから彼女は僕に対して結果ばかりを求めてくるのではないだろうか。

お互いの事はまだまだ知らない部分がたくさんある2人が、
毎日毎日計画を立てていてうまくいくのだろうか。

どうしても僕は現実の方を優先して見てしまう癖があるので、ふわふわとした、
雲のような計画は立てたくなかった。

やるなら徹底的に。

僕はずっとそう思っていた。

彼女はそこをどう思っているのかがわからない。

だから、1度復讐のことを忘れて彼女と話してみたいと思っていた。

彼女話せる機会はたくさんあるが、あんまりこういう話を面と向かってしたら、すれ違う事がたくさん起こりそうで自分からは話題を振る事はできなかった。

すれ違いが起こってもよかった。

けれど、そのすれ違いのせいで、せっかく決めたこの復讐計画が全て水の泡になってしまうことが怖かった。

ここでも僕は逃げていたのかもしれない。

でもここだけは逃げたかった。

せっかく共感しあえる仲間のようなものができたのに、失うのは嫌だったから逃げた。

そして彼女からの質問に答えることができないまま1日が終わった。

復讐計画2日目、何も決まらず終了。
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