この景色を、君と何度も見たかった。

【蒼 said】

復讐計画4日目。

彼女がまた僕に困った質問してきた。

「もし今私が死んだらどうする?」

どういう答えを彼女が待っているかを考えずに1度僕の気持ちを考えてみた。

もちろん嫌だ。

僕より先に死なないでほしいと思う。

一緒に同じ景色を見ようと約束したじゃないかと僕は怒るだろう。

そして彼女の姿を受け入れることができずにまた逃げの人生を始めるだろう。

そんな弱い自分を彼女に伝えることができなかった。

一緒に復讐をしようと約束をした分、

人生を巻き込んでも計画を立てている分、

弱音を吐いた自分のことを彼女が見てしまったときに、

一気に気持ちが冷めてしまうのではないかと考えたからだ。

でも実際を言うと僕の気持ちも彼女の気持ちも少し始めた当初よりも薄れていると思う。

これが僕たちが変わりたいと本気で思う理由だ。

今回は逃げたくないと本当に思う。

だからこそ彼女は彼女でたくさんの葛藤を抱えながらも前を向いていると思う。

彼女はどんな時も弱音を吐かなかった。

少し態度に出ていても、口から本心を出す事はなかった。

そんな彼女に、今僕の弱いところを見せてしまったら彼女はダメになってしまうかもしれないと思い込んでいた。

でも彼女は僕が思ってるよりもも弱い人間では無いのかもしれない。

本当の彼女の心情はわからないけれど、あえて僕は冷たい返事をした。

この冷たい返事のせいで彼女のことを傷つけてしまったと気づいたのはもう少し後だった。

彼女はすごく寂しそうな、悲しそうな顔して僕に

「そっか。」

とそっけなく返事をして

「今日はもう帰ろう。」

と言ってきた。

このときの彼女の顔を忘れることはできない。

見たことがない位悲しそうな顔だった。

そして頭に僕の顔も見ずにさっき先に歩いていた。

彼女の後ろ姿は1人だった。

すごく寂しそうだった。

この時僕はもう少し温かい言葉を投げかけていればよかったのだろうか。

そんなこともわからない僕が彼女と居ててもいいんだろうか。

復讐の継続をこのまま続けてもいいんだろうか。

そんなことを考えていた。

結局自分のことしか考えてないじゃないか。
彼女はどんなことを思いながら、帰ったのだろう。

僕は言葉を振り絞って

「また明日。」

と言ったが、彼女から返事が返って来なかった。

自分にとって都合の悪い返事が返ってきたからといって

僕のことを無視するのか。

と少しむかついた。

この時にもう少ししっかりと話していればよかったのだろうか。

出会った時から、彼女の事はよくわからない。

わからないなりに考えてきたつもりだが、

言葉足らずの僕にとって、

彼女は厄介な存在だった。

何を考えているのか全くわからない彼女をどうすればいいのかもわからないまま1日が終わった。

謝りもできなかった。

復讐計画4日目。

彼女と少し溝ができたような感覚のまま終わった。