この景色を、君と何度も見たかった。
私たちが晒し動画をあげていることを雛璃は知らない。

あの日々はとても忙しかったので雛璃とは連絡をほとんどとっていなかった。

なので久しぶりに連絡をしようと思った。

「久しぶり。早く遊ぼう〜」

と言った。

3日待っても、返事は返ってこなかった。

とても嫌な気がした。

これは気のせいだろうかでも私のこの嫌な気分というのはほとんど当たる。

この心に重くのしかかるものが気のせいではないともうすぐわかる。

なぜか私は落ち着かなかった。

どこまでいっても落ち着かない。

雛璃がここまで私の連絡をするすることはまずない。

だからずっとおかしいと感じていた。

電話をかけても追加のLINEをしても既読がつかない。

その時テレビからあるニュースが流れてきた。

緊急速報

緊急速報

緊急速報

私は自然災害か何かかと思った。

テレビと同時にスマホからも緊急速報と言うニュースが流れてきた。

ここまでニュースがたくさん一気に来る事はあまりないので嫌な予感がした。

テレビから流れてきたのはこの世の動画とは思えないひどいものだった。

今生中継配信アプリ〇〇で女子高校生1人が刺し殺されるシーンが生中継をされると言う予告がありました。

皆さんは見ないようにしてください。

私はとても嫌な予感がした。

雛璃からLINEが来てないからだ。

女子高校生…。

嘘だったよね…。

え?

私たちがSNSでY先生とそのほか2人を晒し上げた生中継配信アプリで殺害風景が生中継されている。

まだ始まってはいない。

ただ犯人と思われる本人からのコメントだけが見える状態となっている。

今から〇〇高校 2年 綾瀬雛璃 を殺害する。

殺害理由は誰でもよかったから無い。

ただ誰かを殺したかった。

殺せることができるのなら誰でもよかった。

ただ泣き叫ぶ姿が見たかったので、生きた人間が良かった。

そう思っていた時に、目の前に歩いていたのが綾瀬雛璃と言う女だった。

10分後、殺人を実行する。

私は震えが止まらなかった。


コメント欄も気持ち悪かった

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ

楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ楽しみ

早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く

そして見えているカバンに付けてあるストラップが私とオソロのものだったから。

画面に写っている女の子の制服が私の学校だったから。

今から殺されるのは間違いない雛璃だ。

なぜ…?

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリいやぁぁぁぁぁぁぁーーーーー

ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメ

どれだけ叫んでもこの声は届かない。

あと5分私はこの光景を見ているしかなかった。

幸せにはなれないのか?

なぜこうなったの?

全くわからない誰も悪くない。

これは誰も悪くない…。

そう思いたかった。

学校で唯一信用できる友達だった。

あんなに優しい子が全国ネットで生中継されながら殺されるなんて…。

何かのドッキリではないのかと思った。

けれどあと3分になったときに犯人は長いナイフを持って現れた。

緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報緊急速報

またすごい勢いで緊急速報と言う文字が流れた。

ニュースではやめてと言う声が聞こえてくる。


あと1分…。


あと0分…。



そうなった時半には何の躊躇もなく雛璃を刺した。

見ていられなかった。

どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ

私の頭の中はこんな事しか考えられなかった。

そして雛璃は嫌だと叫んでいた。

「しにたくなぉぁぁぁいい」

「やめてぇぇえええええ」

「痛ァァァァぃぃぃぃ」


そして犯人は嫌だと叫ぶ雛璃のことなど気にせず、何度も刺した。


レンズに血しぶきが飛んでいる。

赤色に、にじんでいる。

その奥には動かなくなっている雛璃がいることがわかる。

なんで…?

なんで雛璃…?

私には全くわからない、わかるわけがない。

無差別に人を殺す人の理由がわからない。

私たちは晒した3人を理由があって殺した。

殺したと言っても物理的に手を汚して殺したわけではなく勝手にSNSが社会的に殺してくれた。


なのにあの人は自分の手で雛璃の事を刺し殺した。

犯人が誰かもわからない。


あれは本当に雛璃、、?

そして犯人はこういった

「今1人の女子高校生を殺した。

とてもいい気分だった。

全てが満たされた。

ではもうこの生中継を終わりにする

じゃあな」

理解ができない。

すべてのこと全部受け止めきれない。

蒼から連絡が来ている。

連絡を返す気力もなかった。

もう無理だ。そう思った。

また私の運命はここで狂う。

何ヶ月か経った後、私と蒼はあった。

雛璃がいなくなってからもう何日経ったかもわからないくらい、私は外に出れなくなった。

外はすっかり肌寒くなっていた。

復讐をしている忙しさで、雛璃との時間を大切にできなかった。

すぐにまた会えると思っていた。

でも会えなかった。

すぐに雛璃の事件に対しての捜査が行われたが、解決する見込みはなかった。

犯人の手がかり1つ見つからないのだ。

そしてもちろん雛璃の遺体も見つからない。

どこにいるの?

早く帰ってきてよ

と思った。

でも私のそんな言葉は雛璃には届かなかった。

早く早くそう思っていた。

でももう雛璃は帰ってこない、

その現実を受け止めるしかなかった。

私はどうすればよかった?

ずっと雛璃と一緒にいればこんなことにはならなかったのかもしれない。

自分の大切な友達が生中継で殺されていく姿を見ているしかなかった。

そしてそれを受け止めるしかなかった。

助けられなかった。

雛璃は将来の夢があってこれからもっともっと生きたいと思っていたと思う。

いつも私のことを考えてくれていたのに
私は自分の復讐の事だけを考えていた。

どれだけ怖かったか苦しかったか私には想像しかできなくて、
全てをわかってあげられることはできないけれど、

なんで雛璃なの

とばっかり考えていた。

ぼーっとしている私に蒼は何も話しかけなかった。

ただ横にいてくれた。

私、

雛璃の好きな蒼のこと取ってしまったかもしれないとか

私が殺したかもしれないとか

たくさんのことを考えた。

でも答えは見つからなかった。

雛璃がいない世界で私はどうやって生きればいいのかがわからなかった。

もっと生きたかったよね。

代わってあげれたらどれだけよかったか。

どれだけ雛璃が辛かったか。

ごめんねごめんねほんとに。

そう思ったら涙が止まらなくなった。

溢れて仕方がなかった。

どうしようもできなくて足が止まった。

すると蒼は

「大丈夫?」

とだけ言って横に居てくれた。

もう大切な雛璃がどこにもいない。

また一緒に夕焼けを見ようねって約束したのに。

本当はもっともっといろんなことをしてもっといろんなところに行って雛璃と一緒に楽しいことをしたかった。

なのに死んでしまった。

私が死ねばよかった。

もう復讐なんてしなければよかった。

あの時から私は間違っていたのかもしれない。

でも止められなかった。

我慢してたから。

私が我慢すればこうならなかったのかもしれない。

みんなは運悪く雛璃が選ばれたと言っていた。

そんなことあるのかと思った。

やっぱり15歳の時に思ったように

神様なんていないと思った。

なんで。

じゃあ私はもう誰を恨むめばいいのかがわからなくなった。

ただ辛かった。

やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ。

何度も何度もそう思ったけどこんな言葉は誰にも届かなかった。

また真っ暗な毎日がやってくると思った。

そう思っていたら蒼が私に話しかけてきた。

「よし、またあの日と同じようにあの場所へ行く?」

私はどこかわからなかった。

「僕たちのすべて始まった場所だよ」

この前、

この景色をまた見たいな

といったところだ…。

あんまり行く気にはなれなかったけれど、ここにいてても始まらないので

「うん、行く」

と返事をした。

すると蒼は、少し笑みを浮かべて

「よし、今から行こう」

と言った。

少し心が軽くなった気がした。

そして2人で歩いていた。

すると車が後ろから急発進してきた。

全てがスローモーションに見えた。

その時私はたくさんのことを思った。

嫌な予感がする。

また私の大切な何かが壊れてしまう気がする

いやだ。

なんでだろう。

また何か無くなる気がした。

なんでだろう。

すごい速いスピードでこっちに向かってくる1つの車。

このスローモーションの空間から抜け出せば早く逃げなければ。

そう思ったけれど全然先に進めなかった。

早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け

頭でわかっていても全然体が追いついてこなかった。

横を見れば蒼も同じような感じだった。

全てがスローモーションに見えるただそれだけ。

どうしよう

このままでは轢かれてしまう

どうしようどうしよう

どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう

頭の中で何度も

どうしよう

と繰り返したけれど体は動かなかった。

その時蒼が私のことを突き飛ばした。

一瞬の出来事で何が何だかわからなかった。

そのまま周りにいる人の悲鳴が聞こえてきた。

男の子が…

突き飛ばされた私が体を起こして目の前を見ると何百メートルも引きずられている蒼の姿があった。

何が起こっているのか全くわからなかった。

え…?

嘘だよね…?

蒼までいなくなるの?

私は必死に

引きずられて止まっている蒼の所へ走った。

何百メートル先のことかわからない

ただただ蒼に向かってひたすら走った。

息をすることさえ忘れるほど走った。

車も止まっている。

なんで交通事故に巻き込まれなきゃいけないの…。

ずっとそう考えてた。

引きずられた蒼の姿が見えた。

震えが止まらなかった。

引きずられたせいで蒼は血だらけだった。

そして車の破片が蒼の体に深く刺さっていた。

これを抜けば出血死をしてしまう。

救急車救急車救急車

早く呼ばないと

早く呼ばないと

と思っていた。

するとたくさんのマスコミの集団に囲まれた。

え…?

なんで。

周りの人たちは私たちを撮るのに必死で救急車を呼んでくれなかった。

そして私は大人の人に

早く救急車を呼んでと叫んだ。

そして車の中から出てきたのは、





雛璃だった。




意味がわからなかった。


…?



なんで生きてるの?

え?


なんで?



死んでないの?



雛璃の手にはナイフが握られていた。



「はる、

あなただけは許さない。

私の大切なものを2つも奪ったんだよ。」


なんのこと…?



「ねー雛璃、何言ってるの?」



「とぼけないで。」


「私から好きな人を奪い、

そして大切な家族を奪った。

あなたのせいで人生めちゃくちゃ。」


好きな人…?



蒼の事?


家族?


意味がわからなかった


何を言っているんだろう……



「私、あんたが晒したY先生の娘。

そして蒼くんのことも取った。」

「私、あなたがお父さんを晒してから私の生活めちゃくちゃになった。

お母さんはどこかへ行ってしまったし、お父さんは部屋から出てこなくなった。

そして大好きだった仕事もなくなった。

私の幸せな毎日を返して。

全てを奪った責任とってよ。」


Y先生の娘が雛璃だったなんて思いもしなかった。

意味がわからなかった。


Y先生の娘と知った途端、

雛璃のことが受け止められなくなった。

事の発端を作ったのはあなたのお父さんだよ。

この恨みの気持ちはどんなことを聞いても変わらないよ。

どれだけあなたのお父さんに私や私の親友が苦しめられたかあなたはわからないでしょう。


ならあなたのお父さんの代わりにあなたが責任をとってくれるの?

狂った毎日を戻してくれるの?

あなたに同情はできない。


それがわかればもうあなたとは友達ではいられない。

「雛璃がY先生の娘なんて知らなかった。

でもY先生に、

あなたのお父さんに

私たちは散々苦しめられた。

だからいくら雛璃のお父さんでも

めちゃくちゃにした家庭が

雛璃の家族でも悪いとは思わない。

それ以上にその前から苦しめられてきて

めちゃくちゃにされた私たちの存在があるから。」

雛璃は目の色を変えた。

ナイフを持ったまま近づいてきた。

「救急車はマスコミで来れないよ。

だって私がマスコミを呼んだんだから。

ここで事故を起こすから来てくださいって言ったんだよ」

「この手であなたの今一番大切な蒼君を殺してあげる。

目の前で。」

なんでなんでなんでなんで。

ずっと考えた。

Y先生の娘の雛璃に、

私の大切なものを奪われることが

どうしても嫌だった。

許せなかった。




「Y先生の娘であるあなたに私の大切なものは絶対に奪えない」




そう言って私は蒼に刺さっていたガラスを深く刺した。

雛璃は止まって

なんで

と言った。

私は涙も出なかった。

今まで黙っていた蒼が口に出してこういった

「はる、復讐成功してよかったよね。

あの時、

はるの日記を拾って全てが始まった。

僕はこの結果になって何も後悔をしていないよ。

多分もう僕は長くは話していられないから
はるに伝えておきたかったことを今一気に伝えるね。

はるしっかり聞いて。

僕は君にこれからも生きていてほしいと思うよ。

君が死ぬって言ったら

僕はなんとしてでも君を止めると思う。

君が死んだほうが幸せになると思っていても僕は止めるよ。

そして、何度だって君に生きていてと言う。

これが僕のわがままになるなら、
わがままのままでいいから君には生きていて欲しい。

そして忘れないで。

絶対に幸せになれるって信じて。

本気で死にたいと思った僕たちだからこの意味の重さがわかるよね。

そしてここまで僕と一緒に、居てくれてありがとう。

君と出会ってから、毎日がすごく楽しくて死んでいた僕の毎日が生き返ったようだった。

だからまたあの景色を君と何度も見たいと願う。

でも叶いそうにないから最後に1つだけ君に伝えておくよ。

この先どんなことがあってももう、今の君なら乗り越えられると思う。

だから恨んでいる気持ちを捨てて幸せになってほしい。

僕たちは恨みは恨みを呼ぶと言う事が綺麗事だと言ったが、復讐をした今の僕たちならこれが綺麗事では無い事がわかる。

だからここで全て終わりにして新しい幸せな人生をはるには歩んで欲しい。

僕のことを忘れても忘れなくてもそこはどちらでもいいから、

自分がこの世の中で1番不幸な人間だとは絶対にこの先思わないで。」

「はる、
僕が苦しみ耐え抜いた5年間より今君に刺されたこの痛みの方が心地いい。

ありがとう。

はる、 笑って。」

と彼は言って微笑んだ。

「分かった。最後にこんなことを言うのはずるいね」

そう言って私は微笑んだ。

その後彼は息を引き取った。

彼の言葉を言われるまで、

私は私の中のオトギリソウの花を大切に大切に育てていた。

枯れるを知らないこの花を枯らしてくれたのは彼だった。

これほど温かい気持ちをくれる蒼を、

雛璃に壊されることだけは絶対に嫌だった。

だから自分の手ですべてを壊した。

これは間違いではなかった。

他人から見たら私のこの行動は理解されないかもしれない。

でも唯一理解をしてくれたのは蒼だけだった。


今まで私が生きていてもいなくても別にどちらでもいいと言っていた蒼が初めて私に生きていてと言った。

そしてこの事故の後、雛璃が殺された生中継の動画が郁磨と計画をして練ったフェイクニュースだということがわかった。

私たちはあの2人の手の中で踊らされていただけだったのだ。

雛璃は事情聴取の時にこう言っていたらしい。


「私の幸せだった毎日はもう戻ってこない。

だからこの世界の 綾瀬 雛璃 と言うものを殺したかった。

そして死んだとみんなに思わせたかった。

そしてまた新しい人生を歩みたかった。

1度死んでしまえば何度でもやり直せる

と思った。

でも恨みの気持ちに負けてあの人を引き殺そうと思っていた。」

恨みは恨みを呼ぶと言うのは本当だった。

私たちは恨みの気持ちを優先して

復讐をしようと計画していた時から

この運命に逆らえなかった。

そしてまた新しい恨みの種をまいていくのであった。


この事件は今年1番の衝撃事件だった。

全国ネットで生中継で刺殺されたと皆が思っていた女の子は生きていたと言うこと。

そしてあの殺された動画が同じクラスの男の子と手を組んで作成したフェイク動画だったと言うこと。

そしてそれに気付けなかった警察。

様々な視点からマスコミはいろんなことを叩きあげた。

そして3人の人たちを晒し上げた私たちは被害者であり加害者にもなってしまった。

被害者だった私たちは加害者を被害者に変えた。

それでも復讐できた事は成功だった。

だから私の中では1つ区切りがついた。

そしてこの事件があった後、

世の中ではネットの使い方や生配信の使い方など様々なことが問題となった。

そしてネットの匿名の怖さや誹謗中傷の怖さを誰もが痛いほど痛感した。

私たちが晒した3人は、

そしてその3人の家族は今も見えない恐怖と戦っている。

いつばれるかわからない。

いつまた同じことをされるか分かりわからない恐怖でこれまでの幸せな生活には戻れない。


そして狂ってしまった雛璃もなくなった蒼も戻っては来ない。

恨みの気持ちがここまでの事件に発展するなんて思ってもみなかった。

そして私たちはこれからもその種子を広げ続けていくのだろう。
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