この景色を、君と何度も見たかった。

2018.05.07
今日は職場体験についてまとめた資料の提出日だった。Nは来ないので、私が全てまとめて先生に出した。
Ｙ先生は

「 大丈夫か。」と聞いてきた。

私は

「大丈夫です。」と答えた。

Y先生は、安心したように

「そうか。なら良かった。」と言った。

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先生、あの時

｢大丈夫じゃないです。｣

と言っていたら助けてくれていましたか。
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2018.05.08
夜、職場体験の準備をNの分までしていた。
何気なくインスタを開けた。
Nがストーリーを上げていた。
他校の男の人達と楽しそうにパフェを食べている動画だった。時間はお昼だった。
私が学校に行っている間、Nは遊んでたみたいだ。

【私、どうすればいいですか。】

Ｎの事で初めて泣いた。声も出なかった。
ただ泣いた。涙も出なくなる頃、カーテンを開けると薄明の空にわざとらしく月が輝いていた。

2018.05.18《職場体験当日》
今日から一週間職場体験だ。
Nは来た。

2018.05.22
私の誕生日だ。Ｎ以外の友達から沢山のメッセージをもらった幸せだった。
Nは私の誕生日を忘れているみたいだ。

2018.05.25《職場体験終了》
毎日Nは来た。
私が作った資料を堂々と持って来て、自分も作ったかのように振る舞っていた。
Ｎが来てくれるならそんな事どうでも良かった。

2018.05.26
今日は大雨だった。
Nは来なかった。
自転車に乗りながら、私は泣いていた。
涙も雨も分からない。
誰にもバレていない。

大丈夫。そう言い聞かせて教室に入る。

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「おはよう」そう言ってくれる人など居ませんでした。
Nが来ても来なくても仲良くしてくれた友達はもう居ないのです。

これは思った以上の苦痛でした。

空を飛ぶ夢はいつしか落ちる夢に変わっていました。
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2018.06.01
6月の憂鬱な空と共に私の心も沈んでゆくばかりだった。朝、ご飯を食べることや起きるが辛くなった。

2018.06.05
Nが来ない時、2人の女の子が話しかけてくれた。移動の時や体育のペアも一緒にしてくれた。本当に救いだった。

2018.06.06
2人の女の子が朝、「おはよう」と言ってくれた。泣きそうになった。朝友達がいるクラスに入るのはいつぶりだろうか。

2018.06.07
Ｎが来た。嬉しかった。
Ｎが来てない時のクラスの様子や授業の話沢山した。楽しかった。
こんな毎日がずっと続いたら幸せだろうな。と思っていた。
この日、いつも話しかけてくれてる女の子二人とは話さなかった。Nがきた嬉しさが勝ってしまっていた。

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この時の私にとって友達が学校に居ることは当たり前ではありませんでした。
朝、「おはよう｣
と言ってくれる友達がいることがどれほど幸せなのか身に染みて感じました。
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2018.06.15
「Nが来ないとあの二人の所へ行くの都合いいよね」

「2人が可愛そう」

こんな声が聞こえてきた。
もう、悲しくもなかった。
言われて当たり前だ。Ｎが来たら2人の所へ行くことが少なくなる。
傍から見れば都合のいいように扱っている都合のいい私が居る。言われて当たり前だ。
私はこの厳しい現実を受け止めることしか出来なかった。

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これは仕方ない事なのです。
私、去年Ｎとあの子の間に入ってあの子からＮを取ったんだから。
Nが言い始めたことだとしても、私が潔白になることは無いのです。
もう汚れている私はどうにもできないのです。

《もう許してください。》

そんな事すら思わなくなりました。
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2018.06.30
相変わらずNが来ない日々が続いた。
話しかけてくれた2人の友達と話している間も周りが気になって仕方がなかった。
本当はこの子達、私が来ることに迷惑しているんじゃないかって不安で仕方がなかった。

【いつから周りの人の目が怖くなったんだろう】
2018.07.01
もうすぐ夏休み、やっとだ。
早く、早く､､｡1日過ぎて。

2018.07.03
いきなり目眩がした。
気づいたら倒れてた。低血圧だそうだ。
《起立性調節障害》 らしい。
朝起きるのがきつかったのはこれのせいらしい。

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起きたくても起きれませんでした。
朝ご飯食べれませんでした。
お昼ご飯も食べれる気が起こりませんでした。給食も残しました。
こんな事誰も気づいてくれませんでした。
外に出ると1輪のリナリアが咲いていました。
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2018.07.04
学校を休んだ。とても楽だった。
なのに、一日中部屋にこもって泣いていた。

2018.07.05
今日も学校を休んだ。 何故か辛かった。
悪いことなど何もしていないのに罪悪感ばかりが残った。


【蒼が見たのはここまでだった】