オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

　マンションに着き、自分の部屋で仕事をする楓を見送りお風呂に入る。湯船に浸かり今日の事を思い出す。

　部署内は椎名部長がデスクで仕事をしていると引き締まった空気が流れていて、みんな真面目に仕事をしている。

　ただ部長も多忙を極め、役員会議にも出席する。今日の午後は部長の不在が続いていた。もちろん、みんな自分の仕事をしているが、柚の後に入った新入社員の高木と高木の同期で隣の部署の藤本が、日頃から柚に何かと絡んでくる。

　柚が男性社員にも、女性の先輩方にも可愛がられているのが面白くないと身勝手な理由なのだ。

「観月先輩〜」

「どうしたの？」

「この資料って、どこにあるんですか？」

「どれ？そこの資料室の中にあるわよ」

「そうなんですか？じゃあ、お願いしてもいいですか？」

「はい？それはあなたの仕事でしょう？」

柚は、当たり前の対応をしたのだか…

「ひっど〜い！そんな言い方しなくてもいいじゃないですか⁉️」

　急に大声で嘆く高木にみんなの視線が集まる。柚は、咄嗟の事に言い返す言葉すら出なかった。