オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 怒りのまま実家に車を走らせる。信号で止まるのももどかしい。車は閑静な高級住宅街に入り、生まれ育った見慣れた家が見えてきた。駐車場には、父親と誉の車も止まっている。その横に自分の車も止め足早に玄関に向かう。

 玄関を開け、慣れ親しんだ実家の廊下を進み、リビングに向かう。

『ガチャ、バンッ』響の今の感情を表すかのような勢いで扉を開けた。その音に両親と誉が驚いた表情になる。

「おかえりなさい。響久しぶりじゃないの」

「ああ」

「食事は?」

「今はそれどころじゃない」

「さっきの電話と言い、何があったんだ?」

「お前のせいで、大変なんだ」

「だから何が」

「響、落ち着け。座ったらどうだ」

 父親に言われ、ソファーに腰を掛けた。

「親父、お袋、俺には真剣に付き合ってる女性がいる」

「この前誉に聞いた。信じられんが本当なら俺たちは歓迎する」

「それが、兄貴のせいで…」

「えっ。俺が何した?」
 




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