オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「どうかしたの⁉️」高木にわざとらしく藤本が声をかけてくる。

「観月先輩が、わからないのに教えてくれないの〜」

「…」柚は、呆れて言い返す言葉も浮かばない。

「観月先輩酷いです!」

「…」言い返す気にもならない。

 そして、何も知らなずに通りかかった他の部署の社員は、この状況を興味津々に見ていく。柚は、言い返しても面倒と黙って資料室に向かう。

 部長や役職者が席を外した時に、こうして何かと絡んでくる後輩。些細な事だが、本当はきちんと注意した方がいい事はわかっている。だがこのふたりは、少し注意すると事を何倍にもする。

 仕事に関しても、新入社員という立場を利用し、できるだけ楽する事を考えている。自分が入社した時は、少しでも早く仕事を覚えて役に立てるように必死だったが、そもそもの考え方が全く違うのだから、どうしたらいいのかわからない…

 高木に対してと言うよりは、後輩に対して上手く対応出来ない自分に落ち込む。全く柚が悪い訳ではないのだが、真面目な柚は落ち込んでしまう…


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