オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

「この前、俺のマンションに来ただろう」

「ああ」

「あの時、なぜか兄貴に女性が声を掛けてきた。よく考えてくれ。俺のマンションなんだ。あの日、たまたま兄貴が俺のマンションに来ただけだ。じゃあ、なぜあそこにいた？」

「まさか⁉️」

「ああ、多分兄貴をつけて来てたんだな」

「誰の事だ？」

「高梨教授の娘だよ。親父が見合い話を持って来ただろう？」

「でも、お前が断るって言うから、教授には断ったぞ」

「諦めてないうえに、柚を兄貴の相手と勘違いしたのか、こちらに被害があったんだ」

「どういう事だ？」

「柚が言わなかったから俺も知らなかったんだが、俺のマンションから帰るときに視線を感じてたそうだ。しかも、ポストに別れろって手紙も入ってたらしい」

「まさか、高梨さんの娘さんが？」

「誰かわからないし、直接の被害がなかったから柚は我慢してたんだろうな…それが、会社にまでメールが来たんだ。婚約者に付き纏うストーカーだと」

「高梨さんの娘だと確証は…」父親が言い淀む。