オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 響は仕事だけでなく、何事も出来る男だと柚は改めて実感する。数日前、実家にお伺いする話をしていて、もう日程が決まっていた。

 平日は、変わらずすれ違いの生活のため、響の実家の事は詳しく聞けていない。予備知識がないままだ。響がいつもより早く帰れた日は電話が掛かってくる。

「今日のブリの照り焼き美味かった」

「よかった」

「帰りは大丈夫だったか?」

「もう、視線を感じる事もなくなったし、ポストの手紙もないよ」

「もしまた何かあれば、今度はすぐに言ってくれ」

「は〜い。あっそうそう。響さんのご両親は和菓子か洋菓子どっちがお好きですか?」

「手ぶらでいいぞ」

「そんな訳にはいきません。どっちか教えてくれないと両方用意しなきゃ」

「どちらかと言えば和菓子だな」

「わかった。どんな格好して行ったらいい?」

「いつもの格好で大丈夫だ」

「…そんな訳には…」

「気軽に来てくれたらいい」

「初めての事に気軽には無理だよ」

 柚の悩みで響は一人喜んでいる。柚にとっては響とのこれからは、どれも初めての体験なのだから…

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