オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 そして、あっという間に響の実家にお邪魔する日になっていた。服装は悩みに悩んで、結局楓にもアドバイスをもらい、薄いピンクのワンピースを選んだ。手土産には、和菓子で有名な『長谷屋』で購入した。

 昼食を一緒にと誘われ、お昼前に響がマンションまで迎えに来てくれる。いつもなら週末は響のマンションに泊まっているが、服装や準備の事もあり、昨日は泊まらず帰っていた。今日の実家訪問が終わったら泊まることになっている。

 マンションを出るときに連絡が入り、柚は荷物を持って外に出る。今は緊張が最高潮だ。忘れ物がないか何度も確認する。休日出勤の楓は、家を出るときに緊張しすぎだと大笑いしていた。

 遠くから響の車が近づいて来るのが見えてきた。そして、柚の前で静かに止まる。

「こんにちは。迎えに来てもらってありがとう」

「…」なぜか柚の姿を見たまま運転席で固まっている響。

「響さん、どうしました?何か可笑しいかな?」

「いやっ。可愛すぎて…」

 響のストレートな言葉に、今度は柚が固まる。




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