オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「柚、早く乗って」

「は、はい」

 お互いいつもと違う雰囲気に照れ合う。少しの間、沈黙の続く車内。初々しい空気が流れている…

「そんなに緊張しなくても大丈夫だ」

「そうは言われても…お父様は、響さんと誉さんのどっちに似てますか?」

「そうだなぁ〜顔だけで言うと兄貴が親父似で、俺がお袋って言われるな。性格は、兄貴とお袋が賑やかだ」

「そうなんですね。楽しみです」

 話をしている間に車は高級住宅街に入っていく。

「ひ、ひ、響さん!」

「何だ?」

「ここは?」

「もうすぐ実家に着く」

「ええっ⁉️私でも知ってる高級住宅街なんですが…」

「昔から景色が変わらない古い住宅街だよ」

 柚はそんな訳ないと内心思う。みんな景観を守るために、気を遣っていて古いわけではない。この地域に住める人は、ほんの一握りしかいない。

 よく考えると、響の兄の誉はお医者様だ。チャラいから忘れがちだが…

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