オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「今更だけど、私場違いじゃない?」

「何言ってるんだ?うちの親は柚が来ることが決まってお祭り騒ぎだよ」

「それならいいんだけど…」

 そして、到着した実家は…
予想以上の豪邸だ。響がリモコンで開けた駐車場には二台の高級車が止まっている。

「チッ」

「どうしたの?」

「なぜか兄貴の車が止まってる。土曜なら診察だろうと今日にしたのに」

 ブツブツ文句を言いながらも、柚をエスコートし手入れの行き届いた庭を通り玄関に向かう。

「お庭綺麗だね」

「そうか?気にした事なかったな」

 少しでも緊張を紛らわすように、キョロキョロする柚は挙動不審だ。そんな柚が可愛くて今すぐ抱きしめたい衝動にかられる。繋いでいる手を少し引き驚いた柚が響の腕の中に収まる。

「反則だ。可愛すぎて」

「なっ」腕の中で真っ赤になる。

が、ここは響の実家の玄関の前。

「コホンッ」突然第三者の咳払いが聞こえた。

 慌てた柚は、勢いよく響の腕の中から抜け出し声の主に視線を向ける。




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