オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「ほ、誉さん…」「チッ」

「そろそろかと出てきたら、こんな所でイチャイチャしてるんだから…」

「何でいる?今日は仕事だろう?」

「柚ちゃんが来るって聞いてたから、予約の患者さんの診察をサクサク終わらしてきた」

「はあ?いつも混んでるだろ?特に土曜」

「俺の代わりに診てくれる後輩が、今日はたまたま居て良かったよ」

「それは、押しつけたって言うんじゃないか?帰って来なくていいのに」

 大人の兄弟が言い合っている姿が、何とも微笑ましく柚は黙って成り行きを見守っていたが、そこに女性の声が割って入る。

「貴方達、家の前でみっともない。早く入りなさい。柚さん、ゴメンナサイね。バカな兄弟で。さっ、二人は放っておいて行きましょう?」

「は、はあ…」

 まだ挨拶もしていないが、母親にぐいぐい引っ張られ、呆気に取られたまま連れて行かれる。玄関を入っても期待を裏切らない豪華なお屋敷だが、驚く暇もない。





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