オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 響の実家を後にし、行きの緊張が嘘のようにテンションの高い柚。

「京子さん、素敵ですね」

「そうか?」

「はい」

「就職してからは忙しくてあまり帰らなかったんだ。両親の喜ぶ顔を久しぶりに見た気がする。柚さえよかったら、また一緒に来てくれるか?」

「もちろん」

 車は響のマンションへ向かう。付き合い始めてから、響のマンションにも柚の服や身の回りの物が増えていき、いつお泊りしても困らない。

 ただ、まだキスしかしていない…

 もう付き合って3ヵ月近く経つ。初心者の柚でも少し不安になっている。響がどう思っているのか自分からは聞けない。ただ、両親にも紹介してくれるくらいだから、遊びではない事はわかる。

 この日のお泊りもキスをして、抱きしめ合いただ眠るだけ。最初は緊張していた柚も、今は人肌の温かさを知り、ぐっすりと熟睡できる。

 楓に相談しようかと何度か思ったが、そこは兄妹でも恥ずかしい。

 響の想いを知るまであと少し…




 
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