オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 柚がまだ出勤していない会社では、朝から柚の事が話題になっていた。

 朝一の給湯室は、新入社員の女子達のたまり場になっている。特にお茶汲みをするわけではないのだが、朝にはあまり人の出入りのない広すぎない空間が、お喋りしやすいのだ。扉ではなく、カーテン一枚で区切られた空間は、休憩室の手前にある。大きな声で喋っていたら、休憩室にまで聞こえてしまう。

 高木と藤本に加え、数人の新入社員が始業前の給湯室に集まって話に花を咲かせている。

 一応、外に気遣いヒソヒソと話しているのだが、段々と声のボリュームが上がってくる。

「で?で?昨日の観月先輩の話詳しく聞かせて!」高木が興奮したような声を出す。

「昨日、ビルを出る所で見たの。男の人が迎えに来てるのを」

「え〜、わざわざ会社に迎えにこさす〜??どんな人だったの?」

「背が高くて、めちゃめちゃ男前。カッコカワイイ感じ」

「うそ〜、嫌な感じ」

玲奈(れいな)は何でそんなに観月さんに敵対心持ってるの?」

 あまりの高木の態度に思わず理由を聞く。

「だって〜、みんなにチヤホヤされて、部長にも信頼されてて、しかも私仕事が出来ますオーラが出ててウザイ」


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