オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「響さん、病院まで付き添っていただいて、ありがとうございました」

「柚、名前の次は喋り方を直して」

「へ?」

「休みの日まで部下と喋ってるみたいで休まらない」

「すみません」

 響は柚を乗せ、車を走らせる。

「今から一旦柚の家に寄るから一泊分の荷物を持ってきて」

「はい?今日は帰ります」

「朝、お兄さんと電話した時に今日も帰れないと言っていたからもう一日預かるって話をしたんだ」

「そんな。大丈夫です」

「それでは、俺が心配で休まらない。柚は明日予定はあるか?」

「明日ですか?特にないですけど…」

「気分転換に少し遠出のドライブをしないか?」

「…私とですか?」

「他に誰がいる。嫌か?」

「嫌ではないですが…」

「なんだ?」

「楓以外の男性と出掛けた事がなくて…」

「楓って、お兄さんだよな?」

「はい。双子の兄です」

「双子なのか?」

「えっ、何か可笑しいですか?」

「いや。兄と言うよりは彼氏みたいに仲が良いと思ってたんだけど、何となく理解できた。ずっと一緒に成長してきたんだな」

 響は理解した。きっと兄である楓が今まで柚に寄ってくる輩から守っていたのだろう。



< 48 / 148 >

この作品をシェア

pagetop