オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
「生姜焼きが食べたい…」

 柚の呟きを聞いていた響が反応した。

「生姜焼き。じゃあ豚肉と生姜と…」迷わず買い進める。

「味噌汁の具材は何が好き?」

「長ネギ」

「長ネギと豆腐を入れても大丈夫?」

「ああ」

「ポテトサラダは食べれる?」

「大好き」

 手を繋ぎスーパーで買い物しているうちに、柚も敬語が少なくなり、ぎこちないながらにも一気に距離が縮まった会話になっている。

「明日の朝ごはんもいるね。響さんは、パン派?ご飯派?」

「基本朝は食べないけど、コーヒーを飲みたいからパンがいいかな」

「ピザトーストでもいいですか?」

「ああ」

「じゃあ、ハムと玉ねぎとチーズと…」

 真剣な表情でメニューを考えながら買い物をする姿が愛おしい。

 響は、この休み中に自分の想いを柚に伝えるつもりだ。もう、この幸せな気持ちを隠したくも手放したくもない。

 会社の休憩室で、外の景色を見ている柚を見守るだけの生活には戻りたくない。



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