オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
無自覚女子
 今日は少しの残業で仕事を終えた柚は、帰る前に自動販売機がある休憩室に向かった。大きい窓がある42階からの眺望は最高だ。ここに来て窓の外を眺めるのが、柚にとっては癒やしの時間なのだ。

 煮詰まったり疲れたり、落ち込むことがあった時は必ずここにいる。そんな時は、奥まった人目につきにくい場所がいい。

 昼間なら富士山が、夜はネオンが一面に広がる。

 ボ〜ッと眺めていると鞄の中でスマホのバイブが伝わってくる。スマホを取り出すと『楓』の文字が表示されていた。

 周りに人がいない事を確認してから出る。

「はい」

「俺」

「どうしたの?」

「柚の会社の近くで仕事してて終わったから連絡してみた」

「そうなの?珍しいね。私も終わったところだよ」

「メシ食って帰るか?」

「うん」

「じゃあ、ビルの前で待ってる」

「わかった。すぐ行くね」

 柚は、急いで身支度をしエレベーターに向かう。帰って夜ご飯の心配をしなくていいと思うと、無意識に浮かれる。

 この時、休憩室にはもうひとり居たのだが、柚は全く気づいてなかった…



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