オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 スリッパを選んでいる姿ですら可愛い。響は、柚の姿を眺めているだけで幸せだ。

「こっちとこっち、どっちがいい?」

 最後の選択は響に聞く柚が愛おしい。もう、メロメロだ。

「こっちがいい」と響が預かる。

「じゃあ、決まり〜」

 柚の言葉を聞き、さっさとレジに持って行ってしまう響の後ろを、柚は慌てて追いかける。だが、柚が財布を出す暇もなく、さっさとカードで支払いを済ませてしまった。

 響が商品を受け取り店の外に出るまで黙っていた柚が、店の外に出てから声を掛ける。

「響さん、私のなので私が払います」

「これは、俺の家で使うものだし、可愛い彼女にプレゼントしたいんだ」

「ありがとうございます」

 ここで言い合いをしてもしょうがない。響の気持ちをありがたく受け取ることにした。何かでお返ししようと思う。

 響の中でも柚の反応が新鮮で嬉しい。今までにつき合った事のある女性は、買ってもらって当たり前か、レジの前で払う気もないのに財布だけ出すかのどちらかだった。レジ前でのやり取りは正直好きではない。

 柚のように周りに配慮できる女性は、素晴らしいと思う。




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