オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 思い出しても腹立たしい。鬼部長と言われているが、一日部長がいないだけで部長の偉大さがわかる。毎日ずっと席にいるわけではないが、部長の存在感が部内を引き締め、みんなの仕事効率を上げている事を改めて実感した。

「はぁ〜」

 無意識に溜息が出る。でも、今日の溜息は疲れからでも悩みからでもない。そう、響の顔を見れなかったからだ。思っている以上に、柚の中で想いが大きくなっている。すでになくてはならない存在なのだ。

「大丈夫か?何かあったか?」

 一人だと思ってぼ〜っとしていた柚は、突然後ろから声を掛けられビクッとする。しかも、今まで柚の中で想いを馳せていた張本人だ。

「ひび、あっぶぶちょう⁉️」慌てて周りに人がいないか気にする柚。挙動不審だ。

「プッ」会社では見たことのない優しい表情をして笑っている。

「…笑っていいんですか?」

「はぁ?」

「だって、会社で笑った姿を見たことがないから、会社では笑わないようにしてるのかと…」

「別にそんなつもりはないんだが…」



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