オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 伝光堂の柳生社長は、ひと言の謝罪もなく一人の社員を切り捨て帰っていった。

「そ、そんな…」呆然としている橋田。

「橋田くん。君の言い分もあるだろうが、上から何と言われようとやって良い事と悪い事はあるんだよ。どういう指示があったのかはわからないが、都合が悪くなるとあっさり切り捨てるような社長に、私ならついては行かない。社長や上司は、部下を育てつつ、困っていたら助け守れる器がないと、部下はついて来ないし成長しないと思っている。社員一人一人が我社の評価や価値に繋がっていると思うんだよ。良い社員がいてこその、良い会社じゃないだろうか」

 さすがユニバースエージェントを一代で築いた社長の言葉は重い。

「…」橋田も感じる事があるのか、唇を噛み締め涙を堪えているようだ。



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