オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
鬼部長と甘々部長
 突然高木が退職し、部内は平和が訪れた。雑用しかしていなかった高木がいなくなっても、引き継ぎなどに困る事はない。柚にとっては、神経を削られる元凶がいなくなったのだ。我慢して胃が痛くなる事もなくなるだろう。

 ただ、高木とつるんでいた同期の藤本だけが、居心地が悪そうに大人しくしている。

 それ以外は変わらず鬼部長のもと、日々忙しく仕事を熟す。
 
 みんなの知らない裏側で、柚と部長の恋は進行中だ。オフィスの鬼も、可愛い彼女の前でだけ甘々溺愛モードになるのだ。

 オンオフのスイッチがあるかのごとく切り替える。

「観月」

「はい」

「この前の企画書の直しはどうなった」

「今修正中です」

「遅い。時間がないんだ。急いでくれ」

「すみません」

 部長からのお叱りは、柚ももちろん他の社員と一緒だ。公私混同はしない。

 仕事に追われ一日があっという間に過ぎていく。そして、クタクタになった終業後、柚は今日も休憩室で癒やされる。




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