オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜
 柚は、響が仕事に戻ったタイミングで休憩室を後にした。オフィスビルのエントランスを抜け、外に出ると目の前には響の住むタワーマンションだ。そして視線を落とすと手の中には先程もらった鍵がある。

 もらった当日に厚かましい気持ちもあるが、遅くまで働く響に美味しいものを作ってあげたいと思った。

 普段は控えめな柚だが、疲れた響の姿を思い出し、マンションの下にあるスーパーに寄った。

 夜も遅いし、あっさりした物がいいだろう…

 特に響に連絡を入れるつもりはないので、今日は社内で食べて帰る可能性もある。あっさりした鶏雑炊なら、食べていても少しなら食べれるかもしれないし、明日の朝でもいいだろう。和食のお惣菜も数種類冷蔵庫に入れておこうとサッと買い物をした。

 家主のいない家に入るのは緊張する。

「おじゃましま〜す」誰もいないのは、わかっていても声を掛けてしまう。

 前回も思ったが、綺麗に片付けられ男性の一人暮らしのイメージとは異なる。そして初めてではないので、どこに何があるのかわかるのは助かる。




 
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