ネコの涙
~瞳の家~

『カズーっ!カズっ!どこにいるのっ?』

みんなで呼びながら、家中を捜したが、カズは見つからなかった。


『カズ・・・。いったいどこへ・・・』

『あの様子じゃ、そんなに遠くへは行けないはずだが・・・。そういえば、ネコは自分の最期を、主人には見せないと言う・・・』

『お父さん!!なんてこと言うんだよ!縁起でもない。』

『ごめんごめん。つい・・・悪かった。』

一通り診察した彼には、カズの体内のダメージが、致命的であることがわかっていたのであった。

(あれでは・・・恐らくもう手遅れ・・・)

『カズ・・・。独りでどこへ行ったの?』

「リン♪」

瞳が首輪に付けた鈴を見つめる。

『そういえば、その首輪を外した時に気付いたんだが・・・、首のところに変わったアザがあったな。そこのところがハゲになっていたから、前の飼い主がもしかしたら、それを隠すために付けたのかもしれんな・・・』

『えっ?首って・・・もしかしてこの辺?』

ぼうっと聞いていた瞳が、急に自分のノドを指差してきいた。

『あ・・・、ああ、その辺りに、ピンク色のアザがあったんだが・・・それがどうかしたのかね?』

(・・・あの子・・・もしかして!)

『和樹君、神社よ!きっとあの神社にカズはいる!!』
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