たぶんもう愛せない
「じゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
玄関を出て隣を見るとお義父さんの車が無い。
もう、別荘に向かったんだ。
どんな場所だろう。
行ってみたかったな。
熱海
スマホをバッグから取り出そうとするが慌ててしまってうまく取り出せない。
前回、お義父さまとこんなふうに話したり食事をしたりしなかった。だから、ピンとこなかったんだ。
道端にしゃがみ込んで、ようやくスマホを取り出せたが、今度は指が震えてアドレス帳を開けない。
早く
早く
落ち着いて
一度大きく息を吸って吐いた。
ようやくお義父さまのアドレスをタップすることができた。
時期が違うし、あの時は永遠も生まれていた。
だから、気がつかなかった。
昨日のうちに気がついていれば。
お義父様が亡くなったのは、熱海だった。
タイヤ痕が無い状態で車は林に突っ込んでいたため、居眠り運転が原因だと言われたんだった。
お義父さま
電話に出て!!
お願い。
ハンズフリーで電話には出られるはず。
いやっ!お願い!
今なら分かる。
前回、弥生はお義父さまに薬の入った何かを渡したんだ。
「奈緒さん?」
よかった
「お義父さま、お願い!熱海に行かないで!!」
「お願いだから」
涙がとめどとなく流れる。
「お願い、行かないで帰ってきて」
声が震える。
「掛け直すよ」
そういうと通話は途切れた。
「いってらっしゃい」
玄関を出て隣を見るとお義父さんの車が無い。
もう、別荘に向かったんだ。
どんな場所だろう。
行ってみたかったな。
熱海
スマホをバッグから取り出そうとするが慌ててしまってうまく取り出せない。
前回、お義父さまとこんなふうに話したり食事をしたりしなかった。だから、ピンとこなかったんだ。
道端にしゃがみ込んで、ようやくスマホを取り出せたが、今度は指が震えてアドレス帳を開けない。
早く
早く
落ち着いて
一度大きく息を吸って吐いた。
ようやくお義父さまのアドレスをタップすることができた。
時期が違うし、あの時は永遠も生まれていた。
だから、気がつかなかった。
昨日のうちに気がついていれば。
お義父様が亡くなったのは、熱海だった。
タイヤ痕が無い状態で車は林に突っ込んでいたため、居眠り運転が原因だと言われたんだった。
お義父さま
電話に出て!!
お願い。
ハンズフリーで電話には出られるはず。
いやっ!お願い!
今なら分かる。
前回、弥生はお義父さまに薬の入った何かを渡したんだ。
「奈緒さん?」
よかった
「お義父さま、お願い!熱海に行かないで!!」
「お願いだから」
涙がとめどとなく流れる。
「お願い、行かないで帰ってきて」
声が震える。
「掛け直すよ」
そういうと通話は途切れた。