たぶんもう愛せない
小さい頃は両親がいない事で随分と寂しい思いをしてました。祖父母は健在でしたが子供同士というのは時に残酷ですから。
中学に上がる頃には随分と荒れてました。
両親がおらず、それでいて新宮電機の相続人でもあります。自ずと良くない大人たちが近づいて影響も出てきました。
後見人だとしてもわたしには永遠くんを止めることが難しかった。

高校には入学はしましたが、新宮電機の後継者としてはもう無理だろうと言う話が出てきて、わたしは永遠くんにあのUSBを渡しました。

永遠くんは両親の死の真相を知らなかったからそれを知って欲しいことと、永遠くんにとってお祖父様である社長が永遠くんと奥様に全てを残そうとした事を、永遠くんを愛していた人がいたことを知って欲しかった。

しかし、それから1ヶ月もした頃、ニュースで意外な人物の名前を目にしました。

三田弥生

弥生さんの旧姓です。
彼女は一人になった後、生活は苦しかったようです。その彼女が無惨な姿で河川敷に捨てられているのが見つかったとの事でした。

永遠くんが直接手を下したわけでは無いでしょうが、関係は無いとも思えませんでした。

その頃の永遠くんはすでにその世界から抜け出せなくなってました。向こうも永遠くんは御しやすい金蔓となってました。

「あなたは後見人だったんでしょ?」

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