たぶんもう愛せない
海の次の行動がわかっているため、アレを飲まずに回避する方法を考えながら髪にドライヤーをかける。

スマホを防水ケースからとりだしてポーチに入れ、防水ケースは脱いだ服に挟んだ。

「はぁスッキリした」

「お疲れ様」と言って海はあのワイングラスを私に手渡した。

受け取ったグラスを海の手の中にあるグラスに重ねて一口飲んだふりをする。

「そうだ、せっかくだから」

「え」

早く移動しないと。
私は急いでベランダに向かうと急いで外に向かってワインを捨てると空のグラスを口に当てて上を向く。
一気に飲んだふりをした。

「意外と無邪気なんだね」

「だって、こんなホテルに泊まったのは初めてだし、夜景がすごく綺麗なんだもの、おつまみとしては最高だと思う」

海の手からワイングラスを奪うとそれを一口飲んでから、グラスを月に向けた。

「素敵な夜と、素敵な人生に乾杯」

これが私の宣戦布告。
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