たぶんもう愛せない
「懐かしいな、こんな感じの味だった。外で食べてもこういう家庭の味的な煮込みハンバーグって食べられないだろ、しかも自分でこねたから味もひとしおな感じがする」

「私も誰かと一緒に作ったのは初めてだから楽しかった」

買い物から帰ってきて、ハンバーグを作る準備をしていたら自分も手伝うと言ってきたので、一緒に作ることにしたのだ。

「また奈緒と一緒に作りたいな」

「うん」
仮面夫婦だとしても、一緒にいる間くらいはこんな風に楽しく過ごしたっていいよね。
この人を好きにさえならなければいいのだから。
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