たぶんもう愛せない
タブレットを見ている海に「おやすみ』と言ってベッドルームに向かう。
キングサイズのベッドの両脇には引き出しがついたサイドテーブルが置かれていて窓側に置いている方は私がドア側のは海が使っている。

そこには私用のノートパソコンやタブレットを置いている。
スマホを充電器に接続してタブレットでネットニュースを見ていると海が寝室に入ってきた。

海も同じようにタブレットとスマホを充電器に繋げるとベッドに入り私に近づき、私の手からタブレットを取り上げるとサイドテーブルに置いた。

「今日はどんな言い訳をする?」

「言い訳なんて言ってません」

「だってホテルでは急に眠くなって寝てしまったし、ここに来てからはあちらの家のお掃除だとかお食事でクタクタだったし、そのあとは生理だったんだから」

「じゃあ、今夜は大丈夫ってことで」
海は私のパジャマのボタンを外していくと下着を付けていないため露わになった胸を大きな手で包み込む。

重ねた唇の合間から海の舌が割って入ってくる。海のそれはゆっくりと口中をなぞり逃げようとする私の舌を絡めて吸い上げる。
上顎をなぞり息が苦しくなって来た頃に上唇を噛むことで酸素を取り込むことができた。

別に処女でもないし、結婚もしているのだからいくらこの男が他の女を抱いていようと何回かは相手をしないといけないだろう。

海は耳たぶを甘噛みしながら髪を撫で片手は胸を揉みしだいていく。

「やっと初夜だね」
言ってる言葉は馬鹿らしいけど、散々なぶられた耳元で囁かれて、甘い刺激が久しぶりすぎる身体は欲しく無いのに求めてしまう。

別に単にこの行為を楽しめばいい。
どうせ、妊娠はしないのだから。

海のパジャマのボタンを外していくと、顔をあげて微笑むと脱ぎながら唇を重ねていく。
さっきよりも激しく口の中を蹂躙され、思わず声が漏れ流れてしまった涎を海はペロリと舐めた。

「好きだよ奈緒」

嘘つき。
そう思っても、火がついた身体は海の熱を求めて開いていく。

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